「地獄説」を中心としたけもフレ神学の理解を,より容易に行えるようにという目的で作られた,簡易な用語辞典.原則としてどなたでも編集できます.

キリシタン版 The Jesuit Mission Press in Japan 吉利支丹版

 16世紀末〜17世紀初め,日本を中心にイエズス会によって刊行されたローマ字,あるいは漢字・仮名による印刷物の通称.

 キリスト教布教のため,日本へ来たイエズス会司祭のアレッサンドロ・ヴァリニャーノが,同会の教育事業の一環として計画.
 リスボンから活版印刷機を持ち込んでコレジオ(神学校)に置き,『原マルティノの演説』(1588年),『キリスト教子弟の教育』(1588),『遣欧使節対話録』(1590)を始めとして50点以上の出版物を刊行.
 これは東アジアで初めて西洋印刷術によって印行された書物となった.

 刊行物は上述のようなキリスト教伝道に直接関係するもののみならず,『拉葡日対訳辞典』(1595)や『日葡辞書』(1603)といった辞書,さらには『平家物語』(1592),『伊曽保物語』(1593),『太平記抜書』(刊行年不詳)といった読み物まで多岐に及ぶ.
 中でも,『イソップ寓話』の翻訳である『伊曾保物語』は江戸時代初期に普及し,その過程で「兎と亀」などのように日本の昔話へと変化するものもあらわれた.
 内容は現在のイソップ寓話集と異なる話も収録されており,物語がどのように変化をしていくのか?という点でも興味深い書物となっている.

 さらに21世紀には,俗に「糸田谷」本と呼ばれる,それまで知られていた版とは異なる『伊曾保物語』が発掘された.
 この本には,これまで知られていた物語とは異なるイソップ寓話が幾つか掲載されており,注目を集めた.

 たとえば,「王様の耳はロバの耳」の話だが,「糸田谷」本では「井の中の王様」が周囲に対して煽り散らしたため,上からの圧力で強制的にそれをやめさせられたが,どうにも我慢ならなくなって身分を返上して以後,死ぬまで煽り散らしを続けましたとさ――というものになっている.

 また例えば,グリム童話の金のガチョウの物語の原型と思しき話も含まれている.
 ただし糸田谷本ではガチョウではなく,「けもの」という漠然とした呼び名となっている.
 また,グリム童話では欲に駆られた飼い主が,ガチョウを殺してしまうというストーリーだが,糸田谷本では飼い主は欲と嫉妬に駆られて「けもの」を殺してしまうという筋立てになっている.
 その上,殺した後になっても飼い主は,
「でも,失敗はしてないんですよね.見方ですけど」
などと何の反省も無い台詞を述べて,周囲の失笑を買っている.
 
 キリシタン版は概ね,中世ヨーロッパでのキリスト教の価値観を持った寓話を所収することにより,単なる娯楽作品ではなく,教訓や道徳をしめす教育的な意味を付加している.
 糸田谷本も反面教師的なエピソードを多く所収することにより,道徳説話の面の極めて強い印刷物となっていると言えよう.

『伊曽保物語』(絵入り整版・万治2年本)


(図No. tol200628,こちらより引用)

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