「地獄説」を中心としたけもフレ神学の理解を,より容易に行えるようにという目的で作られた,簡易な用語辞典.原則としてどなたでも編集できます.

リンボ Limbo / Limbus

 辺獄と訳される.
〈縁〉を意味するラテン語のlimbusに由来する.

 地獄と天国との間にあるという,洗礼を受けないで死んだ子ども,異教徒,キリスト教に接する機会のなかった人などの霊魂の行く所.
 聖書の正典中には明確に語られていないが,新約外典の《ニコデモによる福音書》に述べられているイエス・キリスト伝中の説話によれば,キリストは〈埋葬〉と〈復活〉の間に〈リンボ〉に降り,彼が福音をもたらす以前に生きた正しき人々を救い出して,天国に連れのぼったという.
 イエスによるリンボの征服は,中世では劇となり,また,東方正教会における聖大土曜日の礼拝式や,イエスの復活を描いたイコンなどにも描かれた.

 14世紀のルネサンス期に,ダンテは「神曲 地獄篇」の中で,辺獄をアケローン川の先,ミーノスの審判所の前にある地獄の第1層として描いた.
 ここには古代の歴史・神話に登場する徳高い異教徒が,明るく照らされた,美しいけれども憂いを帯びた城に住んでいるとされた.
 一方,これとは別に地獄門の中,アケローン川を渡る前の位置に地獄前域が存在しており,善も悪も為さずに生きてきたいわゆる「中庸主義者」や「日和見主義者」が住んでいるとした.

 16世紀には長崎において日本イエズス会が「ぎやどぺかどる」(1599)を出版したが,この中には
「其余はぷるがとうりょか,りんぼかの外に,全く至るべき所なし」
という記述がある.

 とある仏教関係者によれば,
「じゃあ,キリスト教伝来以前に亡くなってる,おいらのお父つぁんお母さんは救済されねえってのか」
という部分がネックになったことも,戦国時代に日本がキリスト教国にならなかった原因の一つだという.
 当時の宣教師という存在は,キリスト教ガチ勢であることが多かったため,布教を優先するためにその辺を曖昧にしたり妥協したりはしなかったようだ.

 ただ,上述のように,聖書の正典中には明確に語られていないため,リンボはヴァチカン公式の教義とはなっていない.
 特に,洗礼を受ける前に死んでしまった幼児に救済はあるのかどうか?という点は,長年議論の的になってきた.
 2007年,教皇庁の諮問機関である国際神学協会の発表では,「信じたければ好きにすれば」的なものとなっている.

 「地獄説 外典」ではサーバルとカラカルを,リンボの住民であろうと推定している.
 しかしその一方で「地獄説」は,ダンテ「神曲」を論のベースとしているため,「神曲」同様,リンボを地獄の第1圏だと述べている.
 それゆえの論理の矛盾は見られない,些細な瑕疵だが.

 ちなみに,『Fate/Grand Order』に登場するサーヴァント,「キャスター・リンボ」は‎蘆屋道満モチーフだが,史実の両者には何の関係も無い.

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