けもフレ神学用語辞典 - ガバる do sloppy
ガバる do sloppy

 ネットスラングの一つ.
 語源は「ガバガバな」という形容詞からで,「ガバガバ」を「ガバ」と短縮し,る行活用をつけることで動詞化している.
 意味としては「ガバガバになる/ガバガバにする」といったところだろうか.

 「地獄説」は時々不意に論理展開がガバる,と言われている.
 そこが「地獄説」の面白味となっている,と分析する□神学の徒も多い.

 だが,表現の自由など存在しなかった過去の時代には,直接的な表現を避けて暗喩やアナグラムを用いることは日常的に行われていた.
 たとえばジョナサン・スウィフトの『ガリバー旅行記』.
 この作品は,架空の国々を登場させながら,実のところ英国の政治や社会を風刺したものである.
 それでも初版の際には,かなり穏健な表現に書き改められて出版されたという.

 わが国でも,赤穂事件が初めて舞台に取り上げられた際には,曾我兄弟の仇討ちという建前で上演されているし,また,喜多川歌麿は幕府の取り締まりの目をごまかすため,描いた美人画に敢えてモデルの名前を入れず,代わりに判じ絵を右上隅に入れて名前が分かるようにした.
 判じ絵とは言葉を絵に置き換えたもので,富(とみ)、藻(も)、砥石(と)、戸板(と)、行灯(夜を示す/よ)、紙雛(ひな)が描かれ,「とみもととよひな」と読ませた.
 富本豊雛(とみもととよひな)は当世三美人に挙げられた,当時評判の美女であった.

 平成時代もまた,表現の自由を巡る環境は厳しくなる一方であり,ポリコレ棒を握る一部の活動家や,スラップ訴訟を駆使できる一部の組織や団体だけが表現の自由を謳歌し,下級国民からは表現の自由は奪われつつある時代であった.
 そのような世の中であれば,直接的表現を避け暗喩やアナグラムを用いるようになることは不思議でもなんでもない.

 したがって,「とみもととよひな」の上をいく,□の幾重にも張り巡らされた暗喩やアナグラムを解き明かす上では,「地獄説」の手法はガバっているどころか,極めて常識的な手法だと言えよう.